●●●心電図検査●●●

  一般的注意事項
  心電図記録時の注意事項
  心電図記録最中の障害について
  誘導法に関する原則
  運動負荷試験に関する事項

 

一般的注意事項

〈被検者〉

あらかじめ心電図検査の意義を知らせるとともに、検査を受けるさいの注意を与えて安心して検査を受けられるようにする。

〈検査室〉

裸で寒さを感じない程度の温度を保つ(22〜28℃)。その他、湿度、雑音、風通しなど室内環境をできるだけ心地よく保つ。検査台は安楽な臥位がとれるように、また衆目にさらすのをできるだけさけ、精神的および肉体的安静を保ちやすいように配慮する。

〈心電計〉

1 持ち運びしやすい小型軽量のものより長時間連用に耐えるように設計された心電計が望ましい。
2 心電計を運搬するさいは、水平にしてできるだけ振動・打撃を受けないよう配慮する。
3 故障や性能劣化はかならずおこるものと考え、多人数を検査するさいには、予備心電計の用意が望ましい。
4 交流障害がなくても、被験者の安全のため、心電計を必ず接地(アース)しておく。
5 電源コードは被験者、誘導コード、接地線からできるだけ離すようにする。
6 レントゲン機器、眼底カメラなど他の大型電気機器の電源とは別の電源につなぐほうがよい。

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心電図記録時の注意事項

〈被検者〉

1 検査室へ急いで駆けつけるなど肉体的運動をおこなった人は、しばらく休ませてから検査する。
2 手足を切断している人または“ふるえ”が止まらない人の場合には、吸着型導子を腸骨稜の前縁や肩峰に吸着させて肢誘導をおこなう。
3 脊椎彎曲や関節硬直などがある場合には、安楽な肢位をとるのを第一として、無理に伸展させないくてよい。
4 時計や腕輪などは、汚れないようにはずす。
5 電極をとりつける皮膚の汗、皮脂、ほこりは純アルコール類で清拭する。消毒用アルコール(70%)を流用する場合には、水分が残りやすいので、とくに胸部では充分乾燥させてから電極をとりつける。

〈四肢導子〉

1 心電図ペーストまたはジェリーパッドでぴったり装着する。
2 四肢導子の固定は実際上、洗濯バサミのようなクリップが便利である。
3 新しい導子でメッキしてあるものは、紙ヤスリなどで磨かないほうがよい。
4 誘導コードを導子に固定する部分は、締めにくく、緩みやすいのでとくに注意する。
5 手足の内側の皮膚の薄い部分に導子を装着する。

〈胸部導子〉

1 吸着型カップ導子の大きさは3p直径のものが標準であるが、胸の小さい人には小児用の1.5cm直径の小型のものを使用する。
2 胸部導子の装着位置は皮膚が動くため、一般に位置を誤りやすいので常に正確に装着するよう留意する。
3 心電図ペーストのすり込みは必要最低限の広さにとどめ、隣接誘導部位のペーストと接合しないようにする。
4 肥満者では肋間の認定がむずかしいのでとくに注意する。

〈心電計〉

1 電源を入れたり、誘導を切り替えたりした後、ゼロ線が安定するのを充分に待つ。この間にペン位置調節(センタリンク)をひんぱんにいじるのは時間・労力の浪費である。
2 記録中常に1mVの較正電圧波計に注意して心電計の性能劣化の監視をする。異常がみられたら(下記6参照)ただちに記録を中止し、予備心電計に切り替える。
3 フィルターは原則として使用しない。やむをえないときだけ使用する。
4 熱ペンの場合には固定、温度、ペン圧に注意を怠らない。ペンの温度は記録がかすれない範囲で低くする。
5 紙送り速度は毎秒25±2mmの範囲であることを確かめておく。
6 較正電圧の形は正しく直角ならばよい。許容範囲は立ち上がりから0.04秒後の振れの大きさを100%とし、105%と90%を示す平行水平線をひき、0.04秒から0.20秒までの曲線がこの2つの平行線の間にあること。
また、立ち上がりから0.04秒までのオーバーシュートによる最大の振れが110パーセントを超えないこと。
7 心電計をあまり使用しない場合でも3年に1回は水銀電池を新しくする。

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心電図記録最中の障害について

〈筋電図の混入〉

心電図に不規則な細かい振動がたえまなくみられたら、そのほとんどは筋肉の緊張による筋電図の混入によるものである。心電計の切り替えスイッチをSTD,CAL,INSTにしても消失しないものは、心電計の異常である。ときに機械が温まるとともに消えることもあるが、一般に根本的修理を要する。筋電図は、甲状腺機能亢進症やパーキンソニスムスなどでは、すぐには取り除けないが、通常、次のようにして除きうることが多い。

1 精神的不安から無意識な筋の緊張を来している場合には、もう一度「電気を通ずるわけではありません」「痛くも痒くもありません」「眠っておればよい」などとよく説明しながら、手足を他動的に動かしてやりながら、力を抜くように指示する。
2 体の位置や姿勢が不自然であったり、枕の位置が不適当であったり、誘導コードが手足や躯幹に接触して筋の緊張がくることがある
3 筋の緊張をとるのに5〜10秒間手足を力一杯ふんばらせた後、力を抜くよう指示するのも一法。
また手足を他動的に展伸させて力を抜くよう指示しながら、緊張がとれるのを確認するのもよい。

〈交流障害〉

高さと幅が一定した規則的な細かい振動(毎秒50〜60)は、多くの場合交流障害であり、次のようにして除きうることが多い。

1 接触不良によるもの

電極と皮膚、電極と誘導コード、誘導コード内部、誘導コードと心電計、接地線と心電計、接地線と大地、水銀電池室内などの接合部に接触不良があると、交流障害が入る。

2 記録環境の不良によるもの

一般に日本間では畳に湿気が多く、ベッドでも雨の降る日は湿気のため漏洩電池が多いため、交流障害をおこしやすい。
軽度の交流障害は「絶縁シート」を被験者の下へ敷いて接地することにより、消失または減弱させることができる。心電計や扇風機、電燈などの電源コード、接地線などに近くておこる交流障害もある。水道の蛇口に接地する場合、水道管がビニール管であるため接地効果が不充分となることもある。

〈ゼロ線の動揺〉

1 電源スイッチを入れた直後、誘導切り替えスイッチを回したり、導子を移動させた後に、ゆっくりしたゼロ線の動揺がみられる。
2 非常に神経質な人で自律神経系が不安定な場合、インピーダンスの変動が著しく、ゼロ線の動揺をきたす。ベッドのまわりで介添者や助手などが歩くのをやめたり、被検者にはしばらく呼吸を停止させたりすると動揺が減少することが多い。
3 誘導コードが胸壁に接しているために呼吸運動にともなってゼロ線の動揺をみる場合もある。
4 電源が入っていることを示すパイロットランプの明るさが動揺するほどの電源電圧の変動がある場合、ほとんど常にゼロ線の動揺をきたす。

〈参考パンフレット類〉

 この「心電図記録要網」や心電計のとりあつかい説明書を常々心電計の近くにおき、関係者は平常読んでおくよう心がけることにより、ささいな障害に悩まされることも少なく、その障害のほとんどを容易に克服することができる。

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誘導法に関する原則

1 標準12誘導心電図を記録する。
2 各誘導ごとに必ず1.0mVの較正電圧を印加する。
3 各誘導は原則として1mV、10o感度で記録する。

 

運動負荷試験に関する事項

1 負荷する運動の種類および運動量を明示する。いわゆるマスター氏階段昇降試験の場合には、時間および階段昇降回数などマスター氏らの原法に順じておこなう。singleかdoubleかを明らかにする。歩行障害など心臓病以外の理由で、規定の昇降速度が維持できなかった場合や、中止、省略などをした場合には、その旨明記し、安静時心電図所見や心臓病の自覚症状が著しいために運動負荷をやめたり、中止した場合とはっきり区別しておく。
2 救急用冠動脈拡張剤二トロールまたはニトログリセリンを必ず用意する。狭心発作、狭心症状がどのようなものか前もって説明し、運動中に発現した場合には運動をただちに中止し、時間を記録するとともにただちに心電図を記録し、必要に応じて救急処置をおこなう。
3 運動直後の心電図の記録はとくに敏速におこなう。運動のため四肢電極がずり落ちたり、乾燥したり、呼吸促迫や頻脈のために安定した記録を得ることが一段とむずかしいので、万事手際よくおこなうよう心がける。なんらかの障害のために一定時間以上かかってしまった場合(たとえば3分以上)、運動終了後からの時間を明記し、直後心電図と区別する。

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