●●●脳卒中診断基準●●●

● 脳梗塞 ● 頭蓋内出血 ● 一過性脳虚血(TIA)
● 高血圧性脳症 ● 原因不明の発作 ● その他

脳梗塞

脳血栓症

1.前駆症状として、一過性脳虚血発作を認めることがある。

2.安静時の発症が多い。

3.頭痛はないか、あっても軽度。

4.局所神経徴候の進展は緩徐(多くは数日以内)。

5.意識障害は発症時はないか、あっても軽度。

6.髄液は清澄。

7.アテローム硬化を伴う基礎疾患(高血圧症、糖尿病、脂質代謝異常など)の存在することが多い。

(注)CTで責任病巣に相当する低吸収域を発作数日以内に認める。


脳塞栓症

1.局所神経徴候あるいは特定動脈流域の徴候が突発し、数分以内に完成する。

2.頭痛はないか、あっても軽度。

3.多くは意識障害は発症時にはないか、あっても軽度。

4.髄液は清澄、ときに血清(出血性梗塞)。

5.塞栓の原因は通常心臓疾患(不整脈、弁膜疾患、心筋梗塞など)に由来する。

6.最近他に塞栓(脾、腎、四肢、肺、腸、脳、網膜など)を起こしたことがある。

(注1)CTで閉塞動脈流域に低吸収域を認める。正中線の偏倚、出血性梗塞を思わせる所見などを呈することがある。

(注2)脳血管撮影により閉塞動脈の再開通所見、または血管内栓子を証明する所見を呈することがある。


その他の脳梗塞

1.脳血栓症、脳塞栓症の鑑別が困難な脳梗塞。

2.原因不明な脳梗塞。

(注1)発作による局所神経徴候が24時間以上持続し、3週間以内に完全に焼失する場合にRIND(reversible ischemic neur-ological deficit)と呼ぶことがある。


頭蓋内出血

脳出血

1.活動時の発症が多い。

2.しばしば頭痛がある。

3.局所神経徴候の進展は急速(多くは数時間以内)。

4.しばしば意識障害をきたし、急速に昏睡に陥ることもある。

5.通常高血圧症の既往あり、発症時には血圧は著しく上昇していることが多い。

6.血清髄液

(注1)小出血では頭痛、意識障害もなく、髄液も清澄なので、その診断には注意を要する。

(注2)CTで脳内に血腫による高吸収域を認める。


くも膜下出血

1.突発する激しい頭痛(嘔気、嘔吐を伴うことが多い)。

2.髄膜刺激症状(項部硬直、Kernig徴候など)陽性。

3.局所神経徴候をみることは少ない(ただし動眼神経麻痺を呈することがある)。

4.発症時に意識障害をきたすことがあるが、しばしば一過性である。

5.血清髄液

6.網膜前出血

(注1)CTで髄液槽に出血による高吸収域を認める。

(注2)脳血管撮影で脳動脈瘤、脳動静脈奇形などを認める。


その他の頭蓋内出血

脳出血、くも膜下出血との鑑別が困難な頭蓋内出血。


一過性脳虚血(TIA)

1.TIAの局所神経徴候は24時間以内(多くは1時間以内)に完全に消失する。

2.発作の起こり方は急速(多くは2〜3分以内)である。

3.TIAの症候

a)内頸動脈系のTIA
(1)症候は身体の半側にあらわれる。(運動・感覚障害、一眼視力消失、失語など)
(2)発作回数は少なく、発作ごとの症候は同じ。
(3)脳梗塞を起こしやすい。

b)椎骨・脳底動脈系のTIA
(1)症候は身体の半側、両側など多彩。
(2)脳神経症候(複視、めまい、嚥下障害、両側視力消失、半盲など)
(3)発作回数は多く、発作ごとに症候は変動する。
(4)脳梗塞を起こすことは少ない。

(注)発作はめまいのみ、意識障害のみのこともある。


高血圧性脳症

 急激な血圧上昇、ことに拡張期血圧の上昇に際して一過性の頭痛、悪心、嘔吐、視力障害、意識障害、けいれんなどの症状をきたす。
 眼底では乳頭浮腫がみられる。発作を起こす時期には悪性高血圧症の状態になっていることが多い。
 また急性糸球体腎炎のときでは、高血圧が中等度でも発作があらわれる。その他、子癇などの際にも同様の発作があらわれる。降圧療法で血圧が下降すれば、脳症状は消失する。


原因不明の発作

臨床的に脳出血、脳梗塞などの鑑別が困難なもの。


その他

1)〜5)に該当しないもの。

(付)脳動脈硬化症

脳動脈硬化症に基づく脳循環障害によると思われる自覚症状、精神症状などを有するが、脳の局所徴候なく、またCTでも局在性異常を認めないもの。

(注)この基準は他に多くの疾患と紛らわしいので、他の疾患がすべて除外されない限り、この病名は用いないことが望ましい。