●●●高血圧・動脈硬化性疾患の重症度判定基準●●●


 

 高血圧・動脈硬化性疾患の管理上、諸検査項目の成績から、ある程度機械的にその重症度を判定することができれば、疫学調査の上からも、また予防対策、管理方式との関連からみても、大変便利である。

 これまでにも、疫学的見地からは、WHOの動脈性高血圧・虚血性心疾患の分類があり、国内では成人病基礎調査による判定基準の分類方法、沖中班の高血圧および心臓病の集団検診における事後指導区分に関する研究などがあり、一方臨床的な見地から高血圧の重症度判定基準も出されているが、上記の目的には必ずしも沿わない。

 そこで今回は集団に用いて使いやすく、検査成績をあてはめることによって比較的簡単に重症度を判定できるような判定基準を作成することを第1段階で行うこととした。

 

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高血圧・動脈硬化性疾患の重症度判定基準の設定にあたっては、本来、高血圧の分類と動脈硬化の分類とをわけて考慮すべきであるが、動脈硬化の重症度判定基準は現段階ではなお論議の多いところで、程度分けが困難であり、一律的なものを作りにくいのに対し、高血圧重症度に関しては、これままでに既に多くの試みもなされている状況であるので、本年度はまず、高血圧の重症度判定基準の作成を行うこととし、同時に動脈硬化性所見を加味して考えることとした。

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高血圧・動脈硬化性疾患の管理にあたっては、従来、血圧値が第1次スクリーニングにて重要視されているが、高血圧をともなわない動脈硬化性疾患の存在を考慮すれば、問診や比体重の測定(肥満)などを第1次検診に入れることによって補わなければならない。

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重症度(Severity)という語は被験者に与える心理的影響より好ましくないという意見があり、最終的にはこの用語の使用をさけ、単に高血圧判定基準とした。

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高血圧重症度とは元来、高血圧によっておこる臓器の心血管系障害の程度を含めたものであり、これは高血圧の予後と並行すべきものである。したがって、以下に示すごとき分類から、総合的な重症度をどのような形でとることがよいかは(たとえば、各臓器所見の重症度の和をもって示す重症度指数Severity index方式がよいかなど)今後、この分類を用いた多くの予後調査成績をだした後で決められるべきであり、それによって、軽度・中等度・重症などの区別もなされるべきであるが、現段階では、用上の点を考え、一応、各項目に0〜4度の分類を行い、総合判定(判定基準による度数)はその中のもっとも重い側のものをとることとした。

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この判定基準はあくまで予防対策用のものであり、多少とも重症と考えられる症状・所見のあるものは、すべて4に入れてある。また、この基準は疫学的調査を念頭においたものであるが、個人とPopulationとある程度共通した見方も含まれている。

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判定基準は血圧値に関するもの、脳・心・腎・眼底所見よりの臓器障害に関するもの、およびrisk factorに関するものに分けた。

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この判定基準は管理方式に掲げる管理指導区分(医療区分、生活指導区分)との対応をある程度考慮に入れながら作成したが、元来両者は単純に対応すべき性質のものでないので、ここの例における指導区分は担当医の判断による。

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この判定基準を用いる際に、すでに降圧剤治療継続中のものについてはそのことを考慮に入れる必要があり、集計にあたっては原則として別個に取り扱う。